中津川市・恵那市酒井行政書士事務所のよっコラム13

*行政書士の独り言

★家系図裁判と行政書士職務上請求書について

北海道でのことである。
私の知る範囲での概略は、下記の通りである。
行政書士が、戸籍や住民票を取得するための職務上の請求用紙を
家系図作成者に横流ししたということに端を発し、
北海道行政書士会では、当然の事として当該行政書士はなんらかの責任を取るに至ったと思われるが
当該家系図作成者を行政書士法違反で告発した。
結果として、当該家系図作成者は検察より起訴され裁判になり、
高裁を経て現在、最高裁で争っているようであるが、少なくとも第一審では有罪となった。

当該事件について、私が思うに、
行政書士でない者が行政書士しか使用することがゆるされない戸籍の請求用紙を利用して取得し、
家系図を作成したため、その作成業務は行政書士法違反になると裁判所が判断したのでは
なかろうかということである。

そうでなければ、いままでに日本で作成された全ての家系図のうち、
行政書士が作成したのものと自己で作成したものを除いて、全て行政書士法違反になってしまうことになる。
取り締まる側としても、これら全ての者を起訴などできはしまい。
なぜなら、行政書士でない家系図作成業者は相当数存在すると考えられるからだ。

つまり、行政書士が作成した家系図は、
行政書士の業務範囲で作成された家系図であると考えるのが妥当であろう。

たまたまか、それとも必然か、
北海道の家系図作成者は、行政書士しか使えない用紙を使用し作成したがゆえに
その家系図が行政書士業務の事実証明に関する書類に該当したのではないかと推測する次第である。
現在も最高裁で争われているようであるが、個人的には士業法違反もやむを得ないかもという感である。

反面、行政書士にとっては、家系図作成が行政書士固有の業務であるかどうかは別として再確認できたし、
行政書士の中には、業務範囲の拡大になったと考える人もいるだろう。
但し、どこまでの親族範囲で家系図を作成するか、又 作成できるかは別問題である。

上記の裁判の判決は
「家系図は事実証明の文書に該当する為、その作成は行政書士業務である」とのこと。
(平成19年10月24日釧路地裁網走支部判決)
この釧路地裁網走支部判決を受けてか、
家系図作成が行政書士の事実証明に関する書類作成業務とのことで、ホームページ上でも
家系図作成が行政書士業務として広告・宣伝等が見受けられるようになった様である。
北海道で巻物にして1件あたり19万円なら悪い話ではない。

それを受けてかどうか知らぬが、日行連では下記の文書を出し、
家系図作成が行政書士業務であると積極的ではないにしろ認めている。

以下の文書は、ネット上で探したものである。
岐阜県行政書士会の連絡文書では、紙面の都合のせいか見なかったような気がする。

日行連発第161号
平成20 年5 月9 日

各 単 位 会 長 殿

日本行政書士会連合会
会長 宮 本 達 夫
第二業務部
部長 伊 藤 精

家系図作成に関する留意について
昨今の行政実例及び平成19 年10 月24 日付け釧路地方裁判所網走支部判決により、
家系図は、事実証明の文書に該当するため、その作成は行政書士業務とされております。

しかし、家系図の作成販売にあたり、事実を誤認させる広告や虚偽・誇大な宣伝広
告をすることにより、人権問題等が発生する恐れがないとは言い切れません。
行政書士が人権問題等を引き起こすことで、職務上請求書制度の存廃にも影響を与
えることが危惧され、また、行政書士法第10条に規定する品位保持規定上の問題が
生ずる可能性も考えられます。

貴会におかれましては、諸法令並びに行政書士倫理綱領及び行政書士倫理等を遵守
し、行政書士の信用又は品位を害することのないよう、また人権問題等を生じせしめ
ないよう十二分にご理解のほどをお願い申し上げます。

なお、本文書は、月刊日本行政7 号に掲載し、会員への周知を図る予定であること
を申し添えます。

以上
−−−−という文書である。

結論として、昨今のプライバシー保護の観点から、
日本行政書士連合会は、家系図の作成を業務として否定するわけではないが、
充分注意を払って業務受注して下さいということなのだろうと解釈する。

また、ある県では、
「家系図作成は、過去の法務局での照会事例においては、事実証明に関する書類として
行政書士業務であるとされています。(但し直系血族に限る) 
しかしながら、営利目的で巻物家系図作成を業務誘致する行為は、
国家資格者として法の予定するものではなく品位保持規定にも抵触する虞があり、
また個人情報保護に敏感な昨今の社会情勢を考えると、
国民から行政書士に対する信頼を損なう虞もあります。
相続業務に付随しない単独での家系図作成の依頼については、
特段の事情のない限り積極的に受託すべきでないと考えますので、
慎重な対応をよろしくお願いいたします。」
−−−との文書を出している。

これもまたよく解らない話で、営利目的で巻物家系図作成を業務誘致する行為は、
行政書士の品位保持規定に抵触するかもと述べているのであるが、
行政書士業務は営利目的ではないのだろうか。
また、行政書士が巻物家系図を作成しますとの宣伝・広告をして、
悪質なキャッチバーの様な“ボッタクリ”をすると
行政書士の信用とか品位を害するから注意しなさいと述べているのだろうか。
巻物の方が、A3のコピー用紙に印刷した1枚だけの物より、“ボッタクリ”ではないとも思われるのだが。
さらに、一般的に家系図は通常相続業務には附随しないし、
巻物の家系図を添付書類として提出する者もいないだろうし。
積極的だろうが消極的だろうが業務の受託には変わらないし。
少なくとも、家系図作成を行政書士業務として認めていることは、ある程度評価できよう。

但し、当然のこととして、仮に行政書士が家系図作成の依頼を受けても、
無制限に戸籍・除籍謄本が取得してよい筈もない。
実際には、請求用紙を利用すれば取得可能なのであるが・・・。

つまり、行政書士は依頼者が存在し、依頼があって始めて業務が成立するのであり、
依頼者が取得できる範囲でしか、行政書士も取得してはいけないのである。
要するに、依頼者の戸籍等請求可能範囲が、行政書士の職務上請求用紙を利用しても良い
戸籍等請求可能範囲に限定されるのである。
つまり、イコールフィッティングとなるのである。

しかるに、日本行政書士連行会や単位会では何を危惧しているのだろうか。
私が思うに、宣伝・広告や報酬云々ではなく、職務上請求用紙を適確に使用できるか否か、
若しくは使用するか否かということを心配しているのでないだろうかと推測する次第である。
今まで行政書士が起こしてきた職務上請求書に関しての過去の事件を振り返れば当然であろう。

それであるなら、現在も行っている検閲などはあまり意味をなさず、
むしろ、適確に使用できる様にすべきであろう。

適確に使用できるか否かについては、日行連や各単位会で指導・研修することによって可能となり、
ある単位会によっては、定期的に研修をする所もあるようだ。

私個人の考えとして、
職務上請求用紙を利用する場合に、基礎となる戸籍法や住民基本台帳法の研修が重要で、
請求のための正当な目的、戸籍等の取得できる理由、
戸籍や住民票が、どのように現代社会で利用されているかとか、
民間調査機関や興信所、金融機関の調査は反社会的行為でプライバシーの侵害に繋がるか等、
また 現場の役所では諸々の戸籍等請求に対しどのように対処し、
それらが発行されているかなどの状況を調査・確認しつつ、
行政書士を指導・研修することこそが大切と考える。
これら指導・研修の方が、現在の検閲制度より効果的と思われ、
行政書士の質的向上となり全体の底上げに繋がると考える。

少なくとも、行政書士として、適確に使用できなければ適確に使用せよと言っても意味をなさないし、
何が適確で、何が適確性を欠いているのか、
理解できなければ職務上請求用紙を利用できる価値がないのである。

そして、適確使用能力は、役所の担当者における戸籍等発行可否の判断と表裏一体となり、
適確に使用できるようになれば、最終的には適確に使用するか否かについて、
各行政書士の倫理観に依るところが大きいが、適確に使用するということを大きく期待もできよう。

追記−−但し、職務上請求用紙の使用について、
      行政書士の職務外の場合及び他の法律等での制限されている場合は、除外する。

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                                         行政書士 酒 井 修 二
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