中津川市・恵那市酒井行政書士事務所のよっコラム7
*相続関係−養子の相続権
世の中には養子縁組している方が結構存在するものです。
子供がないときの養子、子供が娘ばかりであるための婿養子。
どちらも法律上、養子縁組すれば養子と養親の関係は実際の親子関係と同じです。
精神的な部分において実際の親子と同じかどうか分かりませんけれど、
中には実際の親子以上に精神的な繋がりの深い養親子も存在するものと思います。
また、逆に婿養子になったものの養親とできることなら、
一緒に生活も食事さえも避けて通りたい人もいるようです。
これを別名、主夫と言う。
主婦としての嫁の立場の逆バージョンと考えて戴きたい。
また、子供がいないため親戚の子供を養子にして育て、
結果として養子は養親と喧嘩して養子縁組を解除、つまり離縁した例もあります。
どちらに原因があったか知りませんが。
このように世間には実際の親子同様、
いやそれ以上に千差万別の精神的養親子関係があるものと考えられます。
法律的には養子縁組しているかどうかということだけですけれど。
これらの関係は血が通っていないだけに、こじれるとより厄介なことになります。
しかし、法律的には親子である以上、相続関係者の中で相続が発生すれば、
当然のこととして養親子関係にも相続問題が発生します。
今回は、どろどろした精神的な部分を除いて法律的にカラッと養子の相続権を題目とします。
養子は養子縁組届け出によって成立する。
養子縁組の効果として、法定血族が成立する。
これは、養子縁組によって自然血族と同一の親族関係を生じるというものです。
養子は、実子(嫡出子)と同じ身分を取得するということです。
つまり、養親が死亡したときの相続分は実子と同じであると言うことです。
認知された非嫡出子の場合、相続分は嫡出子の2分の1ですが、養子の場合は全く嫡出子と同じです。
非嫡出子とは、法律上婚姻関係にない男女間に出生した子を言う。
父子関係は、認知によって発生する。
例えば、配偶者がいなくて実子が2人、養子が1人いたとすると、
法定相続分はそれぞれ3分の1づつになります。
権左衛門・とめ夫妻に長男熊吉、次男猪吉、長女はな、3人の子供がいるとして、
長男熊吉の子供寅吉を権左衛門・とめ夫妻の養子にした場合は、
養子となった寅吉にも当然法定相続分があります。
権左衛門が亡くなり、配偶者とめは、健在ということで、その相続分は、
とめ……2分の1
残りを4等分する。
熊吉……8分の1
猪吉……8分の1
はな……8分の1
寅吉……8分の1となります。
仮に、寅吉の父熊吉が権左衛門より先に死亡していますと、
代襲相続権が発生し、寅吉は父熊吉が相続するはずだった分を相続することになります。
従って、
寅吉の相続分は養子としての相続分と代襲相続分と合わせて8分の2を相続することになります。
では、養子寅吉にすでに長女菊が生存していた場合、なお熊吉は健在。
(但し養子縁組前の長女の生存とする。)
このパターンで権左衛門より先に養子寅吉が死亡していたとすると、
寅吉長女菊に権左衛門の代襲相続分があるかと考えますと、
この場合、菊に相続分はありません。
各相続分は、次ぎのようになる。
とめ………2分の1
残りを3等分する。
熊吉……3分の1
猪吉……3分の1
はな……3分の1
寅吉……0となります。
養子縁組の後に出生した養子の子は、養親とその血族との間に血族関係を生じる事になる。
(昭和7.5.11大審院判決)
一方、養子縁組の成立以前に既に出生している養子の子と養親とあるいはその血族との間には、
何らの親族関係も生ずることはないものとされている。
(大正13.7.28大審院判決)
民法727条(縁組による親族関係の発生)
養子と養親及びその血族との間においては、
養子縁組の日から、血族間におけると同一の親族関係を生ずる。
民法887条(子及びその代襲者の相続権)
被相続人の子は、相続人となる。
A 被相続人の子が、相続の開始以前に死亡したとき、又は、第891条の規定に該当し、
若しくは排除によって、その相続権を失ったときは、その者の子がこれを代襲して相続人となる。
但し、被相続人の直系卑属でない者は、この限りではない。
B 前項の規定は、代襲者が、相続の開始以前に死亡し、又は第891条の規定に該当し、
若しくは排除によって、その代襲相続権を失った場合にこれを準用する。
この場合、養子寅吉の長女菊は、
養子縁組前に生存しているため長女菊に権左衛門の相続権つまり寅吉の代わりに相続するという
代襲相続権は認められない。
もし、寅吉が養子縁組後に長女菊が生れたのであれば、菊に代襲相続権が発生する。
また、仮に養子縁組後に長女菊が生れても、寅吉が権左衛門といったん離縁し、
再び同一の養親子どうし縁組をして、
その後、権左衛門の相続が発生した場合、
法定血族関係は再び養子縁組した日以後しか認められないということである。
つまり、過去の養親子関係で相続の効果の遡及はしないということである。
従って、いったん離縁し、再び同一の養親子どうし縁組をしても
長女菊は養親の直系卑属にならないので
親である寅吉に代わって養親権左衛門の財産を相続する権利はないということである。
(民法887条2項)
もし、寅吉の長女菊に権左衛門がなんらかの財産を相続させたいのであれば、
権左衛門と菊の間で養子縁組をするしかないと考える。
また、結果的に財産を与えたいのであれば、贈与、遺贈等の手段が考えられる。
ところで、代襲相続権は被相続人の子が相続開始の時に既に死亡しているか、
相続欠格がある場合または相続人の廃除をされている場合に認められるものであるが、
相続の放棄をしている場合には代襲相続することはできない。
この点は問題のあるところであるが、今回は触れない。
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